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WORLD

知られざる米中首脳会談の内幕

「大国意識」に酔いしれる習近平

2013年7月号

 その日は、巨大な軍事力を世界中に展開する米国が覇権国家としてのプライドを捨て、中国を同じ「軍事大国」と認めた瞬間だった。六月七、八の二日間、オバマ米大統領と中国の習近平国家主席による米中首脳会談は、お互いが大統領、国家主席として会う初めての会談だった。互いにノーネクタイで着席したオバマは習近平に「経済、軍事で世界一、二の大国として話し合おう」と持ちかけた。  中国は、数年後に国内総生産(GDP)で米国を抜くという国家目標を掲げるが、軍事力でも米国は中国に追われる立場を明確に意識している。これに対して習は、「台頭する新興大国と既存の大国は、対立を回避し共通の利益を求めうる」「新型の大国関係をつくりたい」と応じた。こうして米中の「新冷戦」がサニーランドの地で幕を開けたのだ。 台湾問題でオバマが譲歩  サニーランド会談の隠れた「核心」は、米中露の戦略核にある。もともとオバマ・習会談は秋のG20首脳会議の場が予定されていた。それを、米国側が無理に繰り上げた。  オバマが習近平を招いたカリフォルニアの保養地サニーランドは米国の富豪に人気のある高級リゾー・・・