揺るがぬ「絶対君主」 エルドアン
目指すは「現代版オスマン帝国」
2013年7月号
欧米メディアはまたしても見誤ったようだ。イスタンブールのタクシム広場で始まったデモは確かに拡大したが、エルドアン政権はいささかも揺るがなかった。むしろ、これを契機にエルドアン首相は支持層を強化し、絶対君主としてトルコに君臨し続けようとしている。
「ムジャーヒド(聖戦士)、エルドアン!」
六月十五日、十万人が集まったとされる首都アンカラで行われた集会で、エルドアン支持者はこう連呼した。メディアは、ギュル大統領と首相の対立など、与党公正発展党(AKP)内部の不穏な動きを報じ、さもエルドアン政権が転覆するかのような情報を垂れ流した。だがAKP関係者の一人は、「党の基盤がさらに強固になった」と言い、ギュル大統領との対立の噂を「外国メディアのプロパガンダ」と切り捨てた。
軍の反乱分子は排除済み
確かに、トルコ国内は二つに分断されている。しかしそれさえエルドアン首相にとって都合がいい。むしろ、対立構図が鮮明になることで、自らの支持基盤は結束するからだ。
「『トルコが世俗的な軍を持つ世俗国家である』という薄っぺらい通念は覆されるべきだ」
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