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連載

Book Reviewing Globe350 

安全神話という罠

2013年7月号

The Limits of Safety Organizations, Accidents, and Nuclear Weapons

 福島第一原発事故の最大の教訓は、日本の原子力安全規制体制が原子力発電の安全神話、それも絶対安全神話ともいうべき神話の罠に二度とはまってはならないということだった。

 安全はそれをどこまで突き詰めても限界がある。米国のスリー・マイル・アイランド原発事故以来、何人もの研究者がそのことに警告を発してきた。

 この本は、それをもっとも完成された形で論考した名著として知られる。

 舞台は、米ソ核戦争の瀬戸際まで行った一九六二年のキューバ危機。核攻撃の出動態勢を取っていた米軍基地で実はさまざまな警報の誤認が起こっていた。著者はそのことを突き止める。

 世界は種々の巨大危険技術に満ち満ちており、いつ何時破局的な事故が起こってもおかしくはない。にもかかわらず、核兵器に関しては長崎への原爆投下以後、核兵器の使用はないし、核兵器に関わる破局的な事故も起こっていない・・・