個人情報を「支配」する米政府
IT企業が築く「全世界監視体制」
2013年7月号
米国政府が、グーグルやフェイスブックなど最先端かつ最大級の情報技術(IT)企業を通じて、世界中のデータを監視していることが、ついに明るみに出た。中央情報局(CIA)の三十歳の職員、エドワード・スノーデンが機密情報を暴露したものだが、米当局とIT企業の協力関係は、報じられているようなデータ監視の次元では到底おさまらない。米政府は、ベンチャー・ビジネスの段階から資金提供をして企業を育て、人脈、技術、カネ、思想信条などあらゆるつてを使って、安全保障戦略と全世界監視体制の中にがっしりと組み込んでいる。
一方のIT企業側も当局の庇護の下で成長を続け、世界に飛躍した。米国は冷戦時代に、国防総省と防衛産業が一心同体になった「軍産複合体」により世界を支配したが、今や政府とIT企業が結びついた「諜報=産業複合体(Intelligence・Industrial complex)」こそが、米国の世界戦略の中核を構成している。