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経済

大和証券の「膨張路線」に疑問符

「二頭体制」による内部対立で迷走

2013年7月号

 株価の乱高下に揺れている証券業界では今、数年に及ぶ大規模リストラから一転して、積極的な業容拡大を鮮明化させた大和証券本社グループに「好奇」の目が向けられている。 「あまりに時期尚早」と準大手証券トップが語れば、大手証券の役員も「経営環境を楽観視しすぎている」と切り捨てる。大方が、「理解不能」という結論なのだ。果たして、積極策に舵を切った大和証券の内部では今、何が起きているのか。 「日比野社長は鈴木会長の傀儡」  同社が積極経営を最初に打ち出したのは五月十六日、「春季経営戦略説明会」の場だった。アナリストとマスコミ関係者の前で日比野隆司社長が強調したのが、「店舗数の五〇%増強」と「人材の大幅増員」だった。海外拠点を中心とするリストラにほぼメドが付いたことを踏まえたものだという。その印象をあるアナリストは次のように説明する。「ちょうど、株価が上昇を続けていたこともあっての路線転換宣言だったが、会場にはテレビカメラも入っていて、やや興奮状態のようだった」。  大和証券といえば、三井住友フィナンシャルグループとの提携を解消後、国内外の市場環境の悪化を・・・