《日本のサンクチュアリ》「科学研究費」の闇
不正にまみれた「学者ムラ」
2013年7月号
大学などの研究費として一番代表的なものは「科研費」と呼ばれる文部科学省が分配する科学研究費補助金だ。これ以外にも、厚生労働省と環境省なども個別に科研費を持つ。税金を使いオープンに運営されているかのように見えるが、実はその選考方法から使途にいたるまでベールと疑惑に包まれている。東北地方の国立大学工学部の教授の一人は語る。
「科研費選考の過程で学会のボスの意向が反映されることはどの分野でもある。そして現場での使い方や研究が適正かどうかは最終的に研究者の善意に任されてきた。実際にはさまざまな不正がある」
科研費の闇は、民間を巻き込んだ研究費全体の利権や不正にも繋がっているという。
まともな審査が行われない
「研究費・不正」といって真っ先に挙がるのは医学の世界だろう。京都府立医科大学元教授による捏造論文に端を発した、ノバルティスファーマ社製の降圧剤「バルサルタン」をめぐるスキャンダルは、日本中に拡散した。
東京大学の小室一成教授・・・