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連載

皇室の風 58

「終戦のエンペラー」に思う
岩井克己

2013年6月号

 マッカーサー元帥の側近で、太平洋戦線から日本占領まで身近に仕えた軍事秘書ボナー・フェラーズを主人公とするハリウッド映画「終戦のエンペラー」が米国で封切られ、日本でも七月二十七日から公開される。

 マッカーサーの対日占領政策、とりわけ天皇の扱いを決定づけた黒衣とみられながら、詳しい足跡は長年研究者にも知られていなかった。人物像が次第に浮き彫りとなったのは、昭和天皇崩御後の様々な史料発掘による。

 試写を見る機会があり、歴史の流れを思って感無量だった。

 原作は、ノンフィクション作家の故岡本嗣郎著『陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ』(二〇〇二年刊)。

 岡本がその存在に着目したきっかけは、著書『歌舞伎を救ったアメリカ人』(二〇〇一年刊)のため、マッカーサーの副官フォービアン・バワーズを取材したことだ。マッカーサー始め総司令部の面々をなで切りに酷評したバワーズが、フェラーズだけは「良心的で信頼に足る人」と語ったという。

 昭和天皇崩御後、次々に未公開史料が公開され・・・