The Rise of the Creative Class-Revisited

　十年前に出版され、評判になった米国の経営学書の刊行後十年記念改訂版である。

　著者は、グローバル化の進展に伴って「創造的階級」という新たな階層が世界の都市を中心に生まれている、と論じる。

　ルネサンス時代のフィレンツェや十九世紀から二十世紀初頭にかけてのウィーンがそうであったように、これらの都市は技術的創造力（革新）、経済的創造力（起業精神）、芸術的・文化的創造力が相互に共鳴しあう凝縮したドメインを構成している。ここでは、創造力を武器として新たな価値創造を伴う仕事をする人々が新たな階級を形成しつつある。それが創造的階級である。

　ただ、持続的な創造力は、突然変異的に生まれる天才が個人の超能力で生み出すものではない。その芽を注意深く育て、伸ばす経済的、社会的な取り組みと投資が必要になる。「技術的進歩は、か細く、脆弱な草木に似て、外界の環境や気候に影響されやすいだけでなく、短命なものである。それは、社会的、経済的環境にき・・・