韓国「サイバー防衛」のお粗末
危惧されるインフラ攻撃と経済被害
2013年6月号
「『完全なサイバー・セキュリティ』は世界中どの組織にも存在しない。それにしても、韓国のサイバー防衛体制はあまりにお粗末。ザルに近い」
ソウルのネット・セキュリティ会社関係者はこう嘆息する。三月、北朝鮮が挑発行為を繰り返す中、韓国で起きたサイバー攻撃騒動は、一定の被害レベルで収まった。しかし、水面下では韓国の杜撰なサイバー・セキュリティ体制の不備が次々と露呈し、国家を揺るがす「深刻な危機」(韓国治安当局関係者)に直面している。
北朝鮮によると思われる今回の攻撃で主要な被害を受けたのは金融機関とテレビ局。前者は社会の基幹をなす組織であり、社内のサーバーが停止してATMが使えなくなるという被害が発生したことで、国家情報院をはじめとする韓国の防衛当局の無能さが露呈した。
「ネット環境では世界でもトップレベル。IT国家を自任しているだけにショックも大きかった」
前出治安当局関係者はこう語る。しかし韓国は過去にも大規模なサイバー攻撃に曝されてきた。二〇〇九年には国内のネット環境をダウンさせる攻撃が行われ、多くの企業でサービスが止まった。一一年には銀行に外部業者によりウ・・・