「感染症輸出大国」中国の惨状
今後も新ウイルスをまき散らす
2013年6月号
中国の鳥インフルエンザは五月七日に江西省が公表した七十九歳の女性を最後に新たな感染者は見つかっていない。三十六人の死者を出した「騒動」はひとまず収束に向かっている。
しかし問題はH7N9ウイルスに留まらない。今回の感染拡大過程で明らかになったのは、中国における杜撰な防疫体制であり、新しいウイルスが生み出される土壌豊富な中国からは今後も定期的に「新感染症」が生まれると予測されている。中国発のパンデミック(感染爆発)は、中国国内だけでなく日本など周辺諸国や国際社会にとってのリスクになっている。
なぜ、中国国内では感染症の封じ込めが奏功しないのか。そこには医療体制の問題に加えて、政治要因もあることが明らかになりつつある。
共産党批判に繋がる
本誌五月号の「情報カプセル」欄では、今回の鳥インフルエンザが「春節(旧正月、二月上旬)の時点で各地に広がっていた」という中国国内の医師による証言を掲載した。ではいったい今回の流行の発端はいつなのか。中国国内事情に精通した香港のNGO代表はこう証言する。
「上海市で昨秋ごろから重い肺炎症状を訴えて病院・・・