欧州「IT保護主義」の時代錯誤
米企業との「確執」が経済成長を阻む
2013年6月号
欧州連合(EU)や欧州各国政府が、米国企業主導で進むデジタル革命の前に立ちはだかっている。グーグルやフェイスブックなど米国の巨大企業が欧州で荒稼ぎするのに対して、既存の産業を保護しようという動きだ。技術革新が生命線のデジタル分野に政府が介入することには、「経済成長を妨げる」との懸念が強い。
フランス左翼の「本領発揮」
オランド仏大統領が五月中旬、またもネット界に衝撃を与えた。諮問委員会が、スマートフォン、タブレット、電子書籍などネット接続で稼ぐ企業に対して、新税を課すよう提案した。税収は、仏文化の振興に回すという。デジタル経済に切り込むドン・キホーテのような新税構想は、アップル製品をもじって「i Tax」と命名され、ネット上で攻撃を浴びた。それでも、オレリー・フィリペティ文化通信相は、「タブレット業者は、文化の創造者たちを助けるべきだ」と臆さない。
「資本家やアメリカ文化を敵視する、フランス左翼の本領発揮ですね。提案をまとめたピエール・ルスキュール委員長は、『カナルプリュス』社の最高経営責任者(CEO)だった経済人ですが、父親が共産党系のジャーナ・・・