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「強硬保守」の本性見せる習近平

秋にも大規模な「党員粛清」か

2013年6月号

 この秋、中国共産党内で大規模な粛清があるだろうという不穏な噂が流れている。    ここにきて、保守派が牛耳る党中央宣伝部がにわかに露骨な思想統制を始めた。それと呼応するように「左派」と呼ばれる毛沢東思想の崇拝者グループによる集会が活発になっており、ネット上で民主派知識人に対して「売国奴攻撃」を仕掛けている。その背後にあるのは、「保守体質」が露わになってきた習近平党総書記の動きだ。国家主席に就任してまだ三カ月だが、権力の頂点に立つや、生来の頑固な個性が前面に出てきている。「やはり習近平は紅衛兵だった。改革はできない」という失望感が党内の知識層を覆っている。 全党を揺るがす大権力闘争に  秋には共産党第十八期中央委員会第三回総会(三中全会)が開かれる。昨年秋の一中全会で党中央指導部人事が決まり、今年二月の二中全会では李克強首相ら政府人事が決まった。党も政府も軍産複合体の大型国有企業の既得権益を代表する保守派と、それを牽制しようとする改革派が拮抗する体制だ。    そして秋の三中全会では具体的な習近平・李克強体制の政策が決まる。今はそれを前に、李首相が全人・・・