シリアは「分割統治」しかない
米露主導の「和平」が招く混沌
2013年6月号
五月七日、ロシアを訪問したケリー米国務長官はラブロフ外相とシリア情勢に関する国際会議の開催に合意した。会議自体はその後、月内開催の予定が六月に延期され、実際に開催されるかどうか予断を許さない状況にある。しかしながら、この合意が画期的と言えるのは、米国がアサド政権の和平達成に向けた役割を事実上認めたからである。米露は、会議がアサド大統領の退任を開催条件としないことで一致したのであった。
この背景には、シリア国内の戦況変化がある。五月十一日、英ガーディアン紙は「アサドは多くの土地を失ったかもしれないが、彼の軍は依然その結束を保ち、破壊的な余力を残している。同大統領が一年以内に姿を消すことを示唆するものは何もない」と解説した。また十三日付の米ワシントン・ポスト紙はベイルート駐在記者の報告として「戦況の振り子はアサド有利に振れている」と報じた。つまり、「アサド大統領の辞任がない限り交渉のテーブルには着けない」といった条件をちらつかせることは現場を知らない者のする「お笑い種」であることをおそらくラブロフ外相が主張し、米側がこれを受け入れたものと思われる。しかし、どうしてそのような状・・・