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オバマは早くも「死に体」か

「内向き」に引きこもる米国

2013年6月号特別リポート

 オバマ米政権には異変が生じている。一月二十一日に行った大統領二期目の就任演説は独立宣言やリンカーン大統領のゲティスバーグ演説を引いて、建国の理想である「平等」の原則拡大を全国民に訴えた。その勢いがさっぱり盛り上がらないのだ。
 
ホワイトハウス記者団との休戦期間百日が過ぎた四月末の記者会見でABC放送のジョナサン・カール記者から、重点政策のはずであった銃規制強化は水で薄められたし、歳出強制削減は下院で袋だたきの目に遭い、ホワイトハウスが反対するサイバーセキュリティーは民主党議員九十二人が参加して下院で成立してしまうなど大統領の無能が目立つと指摘された末、「大統領は気が抜けたか」と肺腑をえぐるような質問があった。
 
記者全員の注目を集めたオバマ大統領は、「うん、ジョナサンが言うとおりなら荷物をたたんで退散すべきだろう」と述べ一瞬苛立ちの色を見せながら、米作家のマーク・トゥエインの「いまの時点で私が活動停止状態になったとの噂はちょっと言い過ぎだろう」を引用してその場をなんとか取り繕った。
 
 実際には内政、外政すべてが・・・