《企業研究》松 竹
借入金依存の危険な経営
2013年5月号
二年十一カ月におよぶ建て替え工事を経て、今年四月二日にこけら落としを迎えた東京・銀座の新歌舞伎座。総工費百八十億円。国内における歌舞伎興行をほぼ一手に取り仕切る松竹の会長で、持ち分法適用の「株式会社歌舞伎座」の社長も兼務する大谷信義氏が「旧歌舞伎座の時空間を受け継ぎながら、現代の技術の粋を集めた『歌舞伎の殿堂』の名に恥じない劇場だと自負している」と豪語するだけあって、新開場の熱気は一カ月経った今も一向に衰えない。
「客足は改築前の三~四倍。四月十二日に売り出した五月公演分のチケット(三次販売)もあっと言う間に売り切れた」。昨年十二月に中村勘三郎(十八代目)、今年二月には市川團十郎(十二代目)と、直前に看板スター二人を立て続けに失い、一部では客足の伸びを不安視する声も挙がっていただけに、松竹関係者らも興奮気味だ。こけら落とし公演は来年三月末まで一年間にわたって続くロングラン興行だが、「この分だと全期間、大盛況で終わるのはほぼ間違いなし」(同関係者)と意気上がる。
もっとも手放しで喜んでいられるのも今のうちか。現在の歌舞伎座はいわば「新・・・