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経済

ソフトバンクが米社買収で「泥仕合」

相手は米IT界きってのギャンブラー

2013年5月号

 まるで狐と狸の化かし合いだ。総額二兆円をかけたソフトバンクによる米携帯電話三位スプリント・ネクステル買収に対し、米衛星放送二位ディッシュ・ネットワークが「待った」をかけた。ディッシュはソフトバンク側アドバイザーの一社を寝返らせる裏技を披露。ソフトバンクは防戦の構えだが、万が一買収に失敗しても巨額の「撤退ボーナス」が入るしたたかな算段だ。ギャンブラー志望だったディッシュCEOのチャーリー・アーゲンと、希代の錬金術師、孫正義ソフトバンク社長のポーカーゲームが始まる。

「肉食」ぶりはアーゲン氏が上手

 孫社長に言わせれば、「アーゲンCEOの動きなどある程度予想していた」といったところだろう。すでにディッシュは、スプリントが五割強を出資する携帯電話会社、クリアワイヤへの買収提案を仕掛けていた。スプリントがクリアワイヤを一〇〇%子会社化しようとしたのを阻止したのだ。クリアワイヤは北米でWiMAXを展開する事業者。独自の高速無線サービスを展開していたため、米最大手のベライゾン・コミュニケーションズや第二位のAT&Tが第四世代(4G)のLTEに積極投資を開始・・・