「窮地」のシャープが悪あがき
この期に及んで「片山待望論」
2013年5月号
「安倍内閣も支持率が七五%まで上がっているのに、ウチのことをつぶしたりできないでしょう」
シャープ中堅幹部はこう高笑いする。台湾鴻海精密工業(以下ホンハイ)との資本提携交渉が暗礁に乗り上げ、韓国サムスン電子から約百億円の出資を受け入れたはいいが、九月に償還される約二千億円の転換社債の資金手当ての目処もなく、中期経営計画さえ未発表のままでいるシャープはいま、「クライマーズ・ハイ」ともいえる奇妙な楽観主義に染まっているようだ。
五月十四日に発表される予定の中期経営計画を前に、広報トップは新聞や雑誌、フリーランスのジャーナリスト回りを始めている。「中計の結果をよく書いてくださいという念押しなのだろうが、これまでのシャープにはなかったへつらいぶりだ」(大手紙担当記者)。あるジャーナリストは「よっぽど中計で出すネタがないのではないか」と勘ぐる。
四月初頭には朝日新聞など各紙が「シャープ、一千億円規模の公募増資」と報じたが、会社側は「中期計画に盛り込む予定はない」など否定に追われた。事情に詳しい筋は、「一連の海外企業との提携で、銀行が再建にお墨付きを与えたとも捉えることので・・・