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経済

《クローズ・アップ》勝栄二郎(次期IIJ社長)

大物財務次官「天下り」の理由

2013年5月号

 財務次官の退任後のポストといえば、かつての大蔵次官の時代から政府系金融機関や都市銀行、大手地方銀行のトップ、あるいは東京証券取引所理事長といったところと相場は決まっていた。政治の波に翻弄され、実力にふさわしいポストを得られなかった次官経験者もいたが、それでも経産省や農水省など他省庁の次官が天下り先に困る時代になっても財務省だけは揺るがないと思われてきた。そんな先入観で、勝栄二郎前財務次官(六十二歳)がIIJの次期社長に内定と聞けば、財務省も「天下り冬の時代」に入ったかと思う人も多いだろう。

 IIJはIT分野に詳しい人であれば知っているが、一般には聞き慣れない会社だからだ。IIJはもともと「インターネット・イニシアティブ・ジャパン」の略で、鈴木幸一氏が一九九三年に設立した日本のインターネットビジネスの先駆けとなった会社だ。今は売り上げ一千億円規模に達し、NTTもグループ合計でおよそ三〇%を出資する揺るぎないIT大企業になったが、それでも「十年に一度の大物次官」と言われた勝氏が就任するには役不足の観は否めない。

 勝氏は「IIJの鈴木社長とは・・・

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