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社会・文化

組織防衛で暴走する検察

改革案を「骨抜き」に

2013年5月号

 二〇一〇年の厚生労働省郵便不正事件に端を発した検察スキャンダル。大阪地検特捜部での証拠改竄事件に足利事件の冤罪が追い打ちをかけた。二年以上の歳月をかけて進められてきた検察改革はようやく叩き台が完成し、三月から議論は作業分科会へ移った。近日中には原案が発表されることになる。 「当初の目的を見失い、すっかり骨抜きにされそうだ」  大手紙司法担当記者は一連の検察改革についてこう吐き捨てた。冤罪の温床となった自白偏重の捜査は改められそうもないという。  組織防衛は、会社、官庁などあらゆる集団が本能的に行うものだろう。しかし検察のそれは別格だ。自らを「無謬」であると信じて疑わぬ検察を揺るがす事態には、なりふり構わぬ組織防衛に走る。 根から腐りきった組織  先日、それを象徴するような人物が検察を去った。三月二十六日、さいたま地検検事正だった大仲土和がひっそりと退官したのだ。 「大仲はここまで出世できる経歴を持っていなかった」  検察関係者の一人はこう語る。一九五〇年生まれの大仲はこの日六十三歳の誕生日を迎えた。つまり定年である。関西大学を卒・・・