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社会・文化

「ミサイル防衛」は 役に立つのか

日米同盟維持のための「張子の虎」

2013年5月号

 北朝鮮による弾道ミサイル発射の動きが顕在化するたびに耳目を集めるミサイル防衛(MD)システム。今回、新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」発射の兆しが見え始めた時にも、恒例行事のようにテレビ番組や巷でミサイルを迎撃できるか否かの議論が交わされた。だがMDの本質はそれほど短絡的なものではない。弾道ミサイルで攻撃しても迎撃される可能性があると相手に思わせることで、危害が及ぶような発射を思いとどまらせる効果の方が大きい。そして、底流にあるのは米軍に対する自衛隊の補完、つまり日米同盟を象徴する装備体系なのである。 まるで「歌舞伎」の世界  MDシステムとは、敵の弾道ミサイルを早期警戒衛星やレーダー網で探知し、着弾前に撃ち落とす米国主導の防衛態勢を総称する装備体系だ。日本ではイージス艦から発射される海上配備型迎撃ミサイル(SM3)により大気圏外で迎撃して、撃ち漏らした時には地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で着弾前に撃墜する仕組みになっている。  このうち、イージスはギリシャ神話に登場する「万能の盾(イージス)」が語源で、敵のミサイルや航空機などを瞬時に探知、識別・・・