「強毒インフル」パニック予想図
医者もワクチンも足りない「修羅場」
2013年5月号
上海で発生した鳥インフルエンザは北京や台湾でも発見され、四月二十五日現在、中国での感染者は合計で百十人。このうち、二十三人が死亡している。ヒトからヒトへの感染も疑われ、広範囲な感染拡大は避けられない情勢だ。
日本政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行を前倒しし、これに合わせて対策の具体的手順を盛り込んだ行動計画案を四月に発表した。大きな非難を浴びた二〇〇九年の新型インフル対応の二の舞いにならないよう、政府も懸命だ。
ところが、政府の対応に関する専門家の評価は低い。厚労官僚は「インフル特措法・行動計画は、内閣官房主導で策定したもの。治安維持に熱心な警察官僚と、とかく医療現場を支配したがる医系技官のタッグマッチだ。総花的に問題点を羅列しただけで、どれも詰め切れていない」と内情を明かす。このまま、強毒性の新型インフルが上陸したら、日本中が大パニックに陥るだろう。
医療関係者の多くが「現場放棄」
行動計画案では、新型インフルが流行した場合、被災補償と引き替えに、一般の医師に対して「診療従事命令」を出すことができるようになっている。
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