《土着権力の研究》鹿児島県 永田良一(新日本科学社長)
補助金まみれの事業と「怪しい人脈」
2013年5月号
鹿児島市の北のはずれ、市街地から遠く離れた山奥に研究所が佇んでいる。森に囲まれ、いくつもの棟が立ち並ぶこの施設は「新日本科学」の鹿児島本店だ。同社の本社は東京都中央区の聖路加タワーにあるが、創業地は鹿児島で、主要業務を担う施設は現在もこの場所にある。
「新日本科学の二代目である永田良一は、県政にも影響力を持つ実力者。鹿児島を拠点として海外にまでビジネスを伸ばした地元で知らぬ人間はいない存在だ」
地元県議会関係者はこう語る。前述したとおり登記上の本社は東京にあるものの「鹿児島唯一の一部上場企業」(地元財界関係者)とも称される。
一九五八年に鹿児島市内で生まれた永田は、鹿児島中央高校を卒業後、関東の聖マリアンナ医科大学へ進学した。卒業後は地元の鹿児島大学医学部で学び、医学博士号を取得している。その間、父親が創業した新日本科学に入社しており、九〇年に代表取締役、翌年には社長に就任した。
同社の基幹事業は「前臨床」だ。これは、製薬会社が創薬する際、新薬候補物質を人体に投与する前に、その安全性や・・・