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韓国「製造業」に迫る落日

独自技術なき巨大企業の「末路」

2013年5月号

 ソウル市内を走る乗用車を眺めていると、最近、ひとつ気づくことがある。BMW、メルセデス・ベンツ、レクサスなど輸入車が増えたことだ。五年前ならソウルの道路は「現代」と「起亜」の車に占拠された観があり、「GM大宇」や「ルノーサムスン」のブランドを時々みかける程度だった。  輸入車の急増は数字をみれば歴然としている。韓国乗用車市場では昨年、輸入車が初めて販売台数の一〇%を超え、販売額では二三・二%を占めた。売上高でみればBMWが韓国第四位の自動車メーカーなのだ。  韓国の消費者の購買力が高まり、デザイン、性能、ブランドなどで輸入車志向が強まったことがあるが、そこには韓国製造業にとって積年の課題が潜む。韓国企業には高付加価値で、ブランド力のある商品が作れないという事実だ。日米欧の製造業がしっかり持っているハイエンド分野を韓国製造業は持っていない。中付加価値の汎用品の生産大国でしかないのだ。  日本のエレクトロニクスメーカーを総崩れにしたサムスン電子にしても「世界で初めて」という独自開発の技術も商品も持たない巨人にすぎない。韓国のコストが上昇し、長年のウォン安にも終止符が打た・・・