無理筋の「BRICS開発銀行」
「中国主導」に各国の警戒感露わ
2013年5月号
「我々は新銀行が実行可能で実現可能なことを喜んでいる。我々は新開発銀行設立で合意した」
第五回BRICS首脳会議が三月二十六、二十七日、南アフリカのダーバンで開かれ、同国ズマ大統領はこう述べて会議を締めくくった。BRICSという言葉が、もはや「死語」となりつつある今、唯一話題となるのが、BRICs四カ国に南アフリカを加えたこのBRICS五カ国首脳会議とその中心議題となっている「BRICS開発銀行」だ。
今回の声明で「設立の合意」は正式協議入りの基本合意でしかないが、いくつか具体的進展も見られる。だが、新銀行を大きな影響力を持つ機関にするためには、他国を圧倒する中国が主導せざるを得ない現実がある。そうしたせめぎ合いの中で、「BRICS」というゴロ合わせの美しさは、いまや不協和音に変わろうとしている。