「やはり例年通り、五月は恐ろしい月だね。どう考えても大量売りが出そうな気配だから」と顔を曇らせるのは、筆者の旧知、大手ヘッジファンドの運用担当者だ。筆者が「理由は？」と尋ねると、この担当者は「投資戦略の読み違えで、巨額の損失を出したファンドがかなりの数に上っている」と指摘する。恐らくこの影響で、解約が第２四半期末に殺到するとみられているが、「解約締め切りが五月十五日近辺なので、手元にキャッシュを作っておかなくてはならない」（同）というわけだ。 　折しも、ニューヨーク市場のダウ平均株価は三月に二〇〇七年十月以来の最高値を更新し、四月に入っても高水準を維持しているので、なおさら売りも多くなる、というわけだ。 　その投資戦略の失敗とは具体的に、・二～三月ごろにＮＹダウは最高値を更新しないとみて、先物で「売り」ポジションをとる、・一方で、金、原油などの商品は「買い」を入れる、という作戦が、いずれもここにきて「ウラ目」に出ていることだ。市場関係者の間では、「大雑把に言えば、有力ヘッジファンドの四分の一が今回は負け組になった」といわれているという。米国株式市場には活況の裏で、激震が走っ・・・