キューバ 「反米時代」の終焉
南米「左派」陣営に異変あり
2013年5月号
南米の石油大国ベネズエラで四月十四日大統領選挙が実施され、ニコラス・マドゥロ暫定大統領(五十歳)が得票率五〇・七五%(七百五十万五千票)で辛勝した。三月五日のウゴ・チャベス大統領(享年五十八)の腰部末期癌による死去を受けた選挙で、チャベスの貧困大衆層優遇の改革路線継続を掲げ「弔い合戦」に臨んだマドゥロだったが、圧勝という予想に反し二ポイント以下の超僅差の勝利しか挙げられなかった。一方、反米左翼指導者チャベスの死で将来が危ぶまれていたラテンアメリカ(ラ米)の左翼陣営は、ひとまず踏みとどまることができた。
だが原油供給を頼る同盟国ベネズエラの先行きに不安を覚えるキューバは、社会主義体制の存続をかけて独自の油田開発を急ぐとともに、長期的安全保障と経済発展のため米国との半世紀を超える冷戦に終止符を打つことを望んでいる。