米国にもう「安全」は戻らない
暴力の連鎖は果てしなく
2013年5月号
米国で、政治的目的を持ったテロや凶悪犯罪の波が止まらない。世界に衝撃を与えたボストンマラソンでのテロ事件は、この国が抱えている闇の氷山の一角だ。世界最強の軍隊、諜報機関、捜査機関を擁しながら、国内に出回る大量の火器を十分に管理できず、個人や少数グループの暴走に簡単に振り回されている。
今年に入ってからは、警察や検察など法執行機関の幹部職員を殺害する事件が相次ぎ、イスラム過激派とは全く別種の、非常に暴力的な脅威も新たに登場した。米国の歴代政権は、テロや凶悪犯罪の奔出に対して、司法・治安機関を強化して、ハリネズミのように身を固めてきたが、昨年末のコネティカット州・小学校銃乱射事件から目立っている惨劇の連続は、米国の政策や不作為こそが、構造的弱点の源泉であることを浮き彫りにしている。
深刻な暴力の連鎖は、今後も果てしなく続く。