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連載

Book Reviewing Globe 347 

オバマ外交の本質

2013年4月号

The Obamians, The Struggle Inside the White House  to Redefine American Power

 オバマ時代の米外交政策は灰色である。
 
 対象を白か黒か、つまり善か悪か、で判断することはしない。

 イラクとアフガニスタンには介入する。ここでは誰が善で誰が悪かは分かりにくい。にもかかわらず、軍事撤退というオプションも含め、関与する。
 
 その一方で、リビアとシリアに対しては非介入を決め込む。ここでは「アラブの春」に動かされ、改革と変革を求める善の勢力が間違いなく存在するのに、である。

 オバマ外交を形作っているのはほかならぬオバマ大統領その人である。

 そのバックボーンは、リアリズムの一言で言い表すことができる。

 オバマがベトナム戦争のトラウマから完全に解き放たれている最初の大統領であることとそれは深く関係している。オバマは、「ポスト・ポスト・ベトナム世代」の代表・・・

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