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WORLD

《世界のキーパーソン》ヤイル・ラピド (イスラエル財務相)

オバマも期待する内政改革の担い手

2013年4月号

 その瞬間は、オバマ大統領がイスラエルのベングリオン国際空港に降り立った、三月二十日正午過ぎに訪れた。大統領は、出迎えたイスラエルの顕官の中から、ヤイル・ラピド新財務相に話しかけた。ごく短時間で、二人は互いに国内改革という難問に直面していることを確認した。大統領は「私の妻(ミシェル夫人)はね、願い事は、(普段よりよけいに)心を配ればかなうわよ、と言います」とも語った。

 今回のオバマ訪問は、イラン攻撃支持もなく、中東和平の新提案もなく、パレスチナ人への土産もない。そんな中、オバマを模して、改革を志向する政治家の登場は、将来への漠たる期待を抱かせた。

 ラピドの新党「イエシュアティド」(ヘブライ語で「未来がある」、以下「未来」)は、今年一月の総選挙で、ネタニヤフ首相の政党リクードに次いで二位に食い込み、宗教政党を追い出して連立政権入りした。党創設は、総選挙のわずか九カ月前。党首は、有名なテレビ司会者だったから、「タレント党首の新党躍進」という点で、日本やイタリアにも通じる。

 ラピドの父親(二〇〇八年死去)も、記者出身で政・・・