「アベノミクス」に脅える三井住友
「無担保ローン」で不良債権の泥沼へ
2013年4月号
日本経済が大きな岐路に差し掛かっている。大胆な金融緩和に象徴される安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」が丁と出るか半と出るか。とりあえず、円安、株高となって世の中には明るさも見えてきたが、これは典型的な期待先行パターンにすぎない。現に、一段の金融緩和が実行されたとはいえ、設備投資に向けた企業の動きは鈍い。銀行の貸し出しも一向に伸びないのが実情だ。
そうしたなかで、戦々恐々としているのが銀行業界にほかならない。「次はこっちにお鉢が回ってくるのではないか」―。安倍政権は日本銀行を屈服させて金融緩和をゴリ押しし、春闘に慎重だった財界も強引な「政治介入」を通じて賃上げに向かわせた。その経済メカニズムを無視した手法は今後、「強引な貸し出し増強圧力に転換するのではないか」(大手銀行幹部)という恐怖心が銀行業界に漂っているのだ。
折しも、「モラトリアム」と異名を取った中小企業金融円滑化法が三月末で期限切れになった。中小企業の倒産が増加すれば、金融は一挙に政治問題化しかねない。「回収できない」金融円滑化法に代わって、「融資を強要する」アベノミクスが銀行を脅かすというわけだ。そ・・・