「第二次アジア通貨危機」の予兆
発展のまばゆさに潜む「リスク」
2013年4月号
危機は常に好調の中に内蔵され、多くの投資家が好機と見始めた時にはすでに頭をもたげ始めている。アジア経済は今、絶好調に近い状況にある。中国の景気は政府の積極的な投資によって「最悪期を脱し、回復軌道に乗った」と多くのエコノミストはみる。今や中国以上に期待を集める東南アジア諸国連合(ASEAN)は個人消費が盛り上がり、成長率で中国に迫りつつある。
何の不安もないようにみえるが、こうした光景には既視感がある。一九九七年七月に始まったアジア通貨危機の前夜である。