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保守派を抑えられない中国新政権

改革を阻む「石油マフィア」

2013年4月号

北京の人民大会堂で三月十七日、全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。国家主席兼国家中央軍事委員会主席に就任した習近平が締めくくりの演説をし、首相に就任した李克強がその脇に座った。  習近平国家主席の演説は、「中国の夢」を九回繰り返し、軍や保守派が唱える拡張主義を代弁する実に空疎なものだった。昨年の十二月、鄧小平の足跡をたどり「改革開放」を宣言した気迫はなく、一月末に政治局で演説した「和平発展の道」はまるでどこかに消えてしまったかのようだ。軍と保守派を抑えられない新政権の脆弱さが浮き彫りになった瞬間だった。  同じ日、内陸の重慶で若い男がビルから身を投げた。男は繁華街にあるグッチのビルの四階ベランダに立ち、地上の群衆に向かって市の共産党委員会書記だった薄熙来の復権を求めるアジ演説をして、救急隊のネットに上手に飛び降りた。いまだに薄煕来復権を画策する政治勢力の動きはやんでいないのだ。習近平、李克強、そして国家副主席になった李源潮の子どもたちは、急遽米国留学を切り上げて帰国したが、これも昨年、米国留学中の薄熙来の息子が行状を暴かれたことへの「逆襲」がありそうな雲行きを察したためだ・・・