老人に脅かされる中国
時限爆弾となる「年金破綻」
2013年4月号
「共産党王朝を倒すのは若者でも農民工でもなく老人になるだろう」
上海の現地紙記者はこう断言する。急激な経済成長によって中国社会に多くの歪みが生じているが、増加し続ける老人に、その皺寄せが来ている。
中でも不安視されているのは年金制度で、懸念材料が噴出している。同様に年金制度が問題になっている日本と異なり、中国の場合、経済が発展途上にありながら早くも高齢化を迎えたため、「破綻必至」(前出記者)なのだ。
「二百三十兆円不足」の衝撃
北京市の外資系企業に勤める出稼ぎ労働者の男性(二十八歳)は、「年金(養老保険)として給与から天引きされたカネは返ってこない税金だと思っている」と吐き捨てる。彼の両親が受け取っている年金が余りに少ないからだ。
北京市から車で三時間かかる河北省の農村に暮らす六十代の両親が二〇〇九年暮れから受け取っている年金は、一人毎月五十五元(約七百円)に過ぎない。これは九億人を超える農民のために中国政府が導入している「新型農村社会養老保険(新農保)」の標準額
だ。
男性の手取りは月二千五百元(約三万円)程度。妻の二千元・・・