野党時代の「復讐」に燃える安倍
繰り広げられるパワーゲーム
2013年4月号
首相安倍晋三は快く思っていない人物を決して具体的な氏名では呼ばない。「あの人」である。今の安倍にとって最も遠い存在の「あの人」は日本経済団体連合会(経団連)会長の米倉弘昌だ。両者の間に決定的な溝ができたのは昨年十一月の衆院解散前後に遡る。
米倉はもともと民主党の前首相野田佳彦と近く、自民党総裁に返り咲いた安倍に対しては厳しい物言いを続けた。
二〇一四年四月からの消費増税実施について安倍が賛否を明確にしなかったことに関し、「自民党総裁としてふさわしい発言だったのか」(十二月十日)と批判。さらに米倉はアベノミクスの核心でもある金融緩和にもかみついた。
「(安倍の主張は)無鉄砲だ。世界各国で禁じ手となっている政策をやるのは無謀過ぎる」
安倍もすぐさま反論した。
「米倉さんはもっと勉強してほしい。間違った認識は正しておく必要がある」
慌てた米倉は安倍に電話して「真意は批判ではない。私は全面的に安倍総裁の経済対策を支持している」と釈明したが後の祭り。安倍は政権を担うと露骨とも言えるほど「米倉外し」を貫く。アベノミクスの司令塔である、復活した経済財政諮問会議。・・・