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中国と北朝鮮の関係に「異変」

「属国化」を強化か

2013年4月号

中国と北朝鮮の関係に異変が起きている。二月二十八日付の英フィナンシャル・タイムズ紙に掲載されたある論文が、駐北京の北朝鮮大使館の外交官たちに大きな衝撃を与えた。中国人学者・鄧聿文氏の寄稿で、「核問題で中国の脅威にもなりうる北朝鮮を切り捨てるべきだ」という内容だった。  同趣旨の論文は、改革派学者で北京大学国際関係学院の朱鋒教授も二月中旬、シンガポールの「連合早報」に発表しており、?氏の主張自体は特に新味はない。注目されたのは、中国共産党中央党校が発行している新聞「学習時報」の副編集長という鄧氏の肩書である。中国では、政権中枢に近い立場の幹部が、外国メディアに寄稿することは極めて異例で、党の政策方針と異なる意見を発表することはさらに珍しい。  中央党校とは、習近平国家主席が今年一月中旬まで校長を務めていた場所だ。同校の機関紙である学習時報は習近平周辺の考え方を最もよく反映している党高級幹部向けの新聞として知られる。学習時報編集部のナンバー2である鄧氏が、このタイミングで北朝鮮批判の論文を発表したことは、中国が対北朝鮮政策を全面転換するサインだと推測する欧米メディア関係者は少な・・・