季節外れの「スーチーフィーバー」
来日を食い物にする愚
2013年4月号
四月十三日から一週間の予定で、ミャンマーの野党「国民民主連盟(NLD)」の党首アウンサンスーチー氏が日本を訪れる。
「政治家やメディアは来日フィーバーとなるだろう。『民主化のアイドル』としてのスーチー氏を利用したいという打算ばかりが目につく」
ミャンマーに詳しい、外務省関係者の一人はこう語る。本誌二〇一二年十一月号「色褪せるアウンサンスーチー」で指摘した通り、同氏のメッキは既に剥がれ、ミャンマー国内では逆風さえ吹いている。こうしたなかでミャンマーの現実に目を向けず、スーチー氏インタビューに狂騒するメディアや、利用しようとした政治家は罪深い。
悪化する少数民族問題
来日を一カ月後に控えた三月中旬、政府関係者の顔色は冴えなかった。もちろん、政府内では「スーチー氏が来れば、ミャンマー民主化を支援する安倍内閣の『価値観外交』をアピールする場になる」(首相周辺)と歓迎ムードがあった。そして、来日時にスーチー氏を招きたいとする大学や企業のオファー、マスコミのインタビュー依頼は殺到した。
問題は今回の来日の窓口が外務省となり、こうしたオファーの交通整理を・・・