三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

イラン指導部に 危険な亀裂

「大荒れ」必至の6月大統領選

2013年4月号

 今年六月に大統領選を控えるイランで、退陣が決まっているアフマディネジャド大統領と、最高指導者ハメネイ師との政争が激化している。国家戦略や外交政策とは関係のない、支配階級内部での露骨な権力闘争で、国民は現体制への幻滅を一段と強めている。  今年二月中旬、二十六億ドルという、イラン庶民では夢想だにできない金額の詐欺事件の判決が、テヘランの最高裁判所で下った。二十人以上の被告のうち、四人の死刑が確定し、他の被告も重い判決を受けた。被告はみな、現大統領の側近や友人たちで、二〇一一年に一斉に逮捕された。  あるイランウォッチャーは、「経済事件での死刑判決は珍しい上、スピード裁判で重罰が言い渡された。側近への死刑判決というのは、大統領への厳しい警告だ。ハメネイ師と大統領の対立は非常に緊迫した段階に入っている」と言う。  判決の少し前には、イラン国民はラジオの国会中継で、アフマディネジャド大統領とアリ・ラリジャニ国会議長が口汚く罵り合うのを目の当たりにした。自分への包囲網が狭まるのに業を煮やした大統領が、ハメネイ師側近の議長に対して、「あんたの弟、ファゼルはとんでもない賄賂をもら・・・