「似非栄養学」に騙されるな
「オカルト」まがいが堂々跋扈
2013年3月号
「これを食べろ」「いや、それは食べるな」―。栄養にまつわる両極端な説の本が次々出版され、しかもたくさん売れている。毎日の新聞は、真贋定かならぬ健康本や健康食品、サプリメントの広告だらけだ。はたして栄養学では、何を信じればよいのだろうか?
「米国でも健康情報は、テレビや新聞で毎日報道されるが、裏付けとなる科学論文の報告に基づいた情報が中心だ」
ハーバード大学研究員の大西睦子医師は、日本の栄養情報のでたらめぶりに苦言を呈する。
「例えば、ハーバード大学の研究者たちは、当初健康な十二万人の女性を約三十七年間追跡し、食生活とがんなどの病気との関係を調査した。この調査は現在も続いている。米国における栄養学は、優れて科学的な疫学調査に基づいているものが多いが、日本の場合、疫学調査に基づかない似非栄養学が世の中にはびこり過ぎである」