NTTが目論む「電力参入」
弱り目東電の「地域独占」に楔
2013年3月号
「東京電力の弱り目につけこんで、NTTグループが猛烈な受注攻勢をかけている構図だ」―。ある経済産業省関係者がこう語る。
東電が二〇一四年度から導入を開始する電子式の電力/ガス量計「スマートメーター」事業の発注先選定が大詰めを迎えている。各家庭に設置するスマートメーターに通信機能を組み込んで検針値を遠隔監視するというもの。東電は福島第一原子力発電所事故の不祥事など数々の隠蔽体質を叩かれ、地域独占によるこの巨大プロジェクトを開放せざるを得なくなった。
スマートメーターは電力業界では、次世代送電網の中核機器といわれている。これまでも九州電力が約十八万戸、関西電力が約百十四万戸に設置するなどの動きはあったが、いずれも実証試験にとどまっていた。
だが東日本大震災後の原発停止による電力不足を背景に、政府が「一七年までに電力の総需要の八割をスマートメーターで対応できるようにする」という方針を打ち出し、本格的な導入への機運が一気に高まった。これにより全国レベルで電力使用量を効率的に抑制するとともに、電力が不足する事態にも迅速かつ柔軟に対応できるようになる。NTTがこれを乗っ取れ・・・