やりたい放題の電力業界
自民党と組んで「改革」封じ
2013年3月号
民主党政権下で不遇をかこってきた電力業界が、見事に復帰戦を飾る結果となった。二月八日、経済産業省の有識者会議「電力システム改革専門委員会」は、発送配電分離と小売り全面自由化を盛り込んだ報告書を正式に決定した。だが、発送配電分離は「五~七年後」、小売り全面自由化は「三年後」にそれぞれ先送りされ、そのほかの改革も細部にわたって電力業界の意向が色濃く反映される結果に終わった。今回の改革は戦後の日本の電力制度を抜本的に変えると謳われ、国民の期待も高かったが、電力業界を完全解体するとの淡い期待は脆くも砕かれた。
電力システム改革専門委員会は民主党政権の肝いりで発足。東京電力福島第一原子力発電所事故で電力業界が弱っている隙をつき、悲願の発送配電分離・小売り全面自由化を推し進める算段だった。だが、改革を拒む電力業界は露骨な時間稼ぎを展開。電力業界の思惑通り、昨年十二月には総選挙に突入し、民主党政権は消滅した。後ろ盾を失った電力システム改革専門委員会が、玉虫色の報告書をまとめるのも、当然の帰結だ。