過熱する世界の資源取引「覇権」争い
「市場」から孤立する日本
2013年3月号
アベノミクスで円安、株高が進展し、証券市場が活況を呈する中、二〇一三年元日に東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合し、日本取引所グループが誕生した。だが、これによって日本の取引所の未来に明るい展望を本気で期待する市場関係者は少ない。「官庁よりも官僚的かつ硬直的」(米国投資銀行幹部)と揶揄される日本の取引所が欧米先進国の取引所並みの競争力を持つと確信する市場専門家は皆無だ。
なかでも、最も取引所の競争力が遅れているとされるのが、資源・エネルギー分野だ。世界的な資源・エネルギー価格の上昇に伴う取引所の活況に対して、日本の取引所における原油、ガソリン先物取引の低迷は深刻だ。東京工業品取引所(現、東京商品取引所)のガソリン先物と灯油先物の取引高は、原油価格が上昇している局面においても、〇三年をピークに減少の一途を辿っている。欧米先進国の原油市場が二十一世紀に入って新興経済発展諸国の資源爆食の煽りで、投機資金の格好の投資対象として活況を呈しているのとはあまりに対照的だ。