ひと息ついた「開運」安倍
次の目標は業界と切り結ぶ「規制緩和」
2013年3月号
安倍晋三が二度目の政権を担って二カ月余り。民主党政権三年三カ月の混乱、迷走が嘘のような日々が永田町を覆う。元来は戦闘的な安倍が低姿勢に徹し、憲法改正など「安倍カラー」を封印し、「安全運転」していることも大きな要因に違いない。ただし、それだけでは今の「天下泰平の空気」(安倍側近)を説明し切れない。
最大の要因は昨年十二月の衆院選を経て野党が四分五裂し、安倍を脅かす勢力が圧倒的に小さくなったことにある。自民党の衆院二百九十四議席に対して第二党の民主党が五十七議席、第三党の日本維新の会は五十四議席。両党合わせても自民党のほぼ三分の一にすぎない。とりわけ民主党はその数の少なさだけでなく、反転攻勢の気概すら失われている。「崩壊への序章」などという生易しい状況ではない。
二月二十四日午後、民主党は選挙後初めての党大会をホテルニューオータニで開いた。野党に転落したとはいえ、なお百数十億円の資金力を持つ民主党ならではの会場だった。曲がりなりにも党の綱領も決まった。華々しく反転攻勢の狼煙を上げる一大セレモニーのはずが、大会直前に離党者が出たのである。しかも民主党が第一党の勢力を保持する・・・