三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

安倍訪米の「隠された狙い」

「タカ派」イメージ払拭に腐心

2013年3月号

 安倍晋三首相が念願の訪米を果たし、オバマ大統領と初めての会談を行った。焦点だった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で関税撤廃の「例外」を事実上認める共同声明を勝ち取るなど、一定成果を挙げたのは確かだろう。  だが、今回の訪米にはもう一つ密かな狙いがあった。それは、安倍首相が米メディアに貼られた「タカ派」「右翼」などのレッテルを、いかにして払拭するかのイメージ戦略だ。実際、訪米中に安倍首相はこの点に細心の注意を払っていた。

対中柔軟姿勢を強調

 訪米中、安倍首相は「日米同盟の完全復活」を強調すると同時に、対中柔軟姿勢をオバマ政権や米メディアに示し続けたのだ。 「(中国との)対話のドアは常に開かれている。私は習近平総書記と年齢的にも変わらない。十三億の民を統治していくことは大変なことだと認識している。同世代の指導者として、いろんなことを話す機会があればいい」  安倍首相は二月二十二日の首脳会談後の記者会見で、米メディアに日中関係について問われると、日中首脳会談実現に期待感を表明した。習総書記に親近感を示すなど、これまで対中強硬派と目・・・