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政治

《土着権力の研究》岩手県 宮城建設・宮城政章会長

小沢王国瓦解後の新たな「ドン」

2013年3月号

 一九九三年に自民党を離党した小沢一郎・民主党元代表(現生活の党代表)は翌九四年、お膝元の岩手県を“自民党王国”から“小沢王国”へと激変させた。東北地方の大型公共事業を餌にゼネコンや県内業者を動員する土建選挙を展開、県知事選や国政選挙などで連戦連勝し、瞬く間に政治勢力図を小沢色に塗り替えたのだ。

 小沢王国が誕生した岩手では、県下に建設業者が強い影響力を発揮する状況が長く続いてきたが、その代表的存在が、自民党離党前から小沢氏と二人三脚を組み、鹿島と共に公共事業の受注調整(談合)をしてきたとされる「高弥建設」(盛岡市)の望月茂会長だった(両社とも談合を否定)。岩手県建設業協会会長、東北建設業協会連合会会長を歴任する傍らで、自ら率いる高弥建設は七五年から二十年以上も県内完工高第一位に位置し続けた。名実ともに岩手の“ドン”として君臨してきたのである。

 しかし二〇〇二年四月、リゾート開発の失敗などで高弥建設は破綻。翌五月、望月会長の後任として岩手県建設業協会の会長となった・・・