米中の「狭間」で埋没する日本
北「核実験」で見せた二大国の本性
2013年3月号
あまりにも対照的ではないか。国連中心で国際社会との協調外交を目指したオバマ大統領は、二〇〇九年のプラハ演説で「核兵器のない世界を目指す」と大見得を切った。だからこそ同じ年の十二月にはノーベル平和賞受賞の栄に輝いたのだろう。大統領は一〇年四月にロシアとの新核軍縮条約に調印した。が、現実には何が起きているのだろうか。
北朝鮮は大統領就任以来第二回、次いで今回第三回の地下核実験を行った。シリアでは紛争が内乱に発展して三年目に入り、「九万人」(サウジアラビアのサウド外相)の死者が出ているのに米国は動こうとしない。
北の核実験実施には米国、韓国、中国、日本など世界中が反発した。北の生殺与奪の権を握っていると思われている中国がこれまでになく強い反発を示しているので、国連安全保障理事会では強制力を伴う国連憲章第七章の措置が可能かと思われた。しかし、実際の強力な制裁に中国は賛成ではないのだ。国際的な常識に従うかのように装いつつ、金正恩政権崩壊後に韓国主導の統一民主主義国家が成立するのを極度に恐れているのである。
北の核実験を既成事実として認めた場合に北東アジアで核を保有しない・・・