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経済

アベノミクスが破綻する時

行天豊雄(国際通貨研究所理事長)

2013年3月号

 ―アベノミクスは市場から好感をもって受け入れられているようです。
 行天
 デフレ脱却への強い意志を見せ、企業や家計に前向きなムードをもたらした点は評価する。従来の日銀の対応と比べ、市場とのコミュニケーションをうまく図ったという印象だ。だが、まだメニューを見せられただけで、実際の「料理」が出てきたわけではない。流動性の問題はもはや完全に解消されているわけで、それをどう活用するかに市場の関心は移っている。今後成長戦略をどれだけ早く出せるか、アベノミクスの評価はそれからだ。

 ―海外からは一部で「近隣窮乏化政策」だとの批判も聞こえてきます。
 行天
 市場で動く投機筋は乱高下こそを望む。海外の論調に弱い日本の足元を見た、ある意味で見え透いた動きではある。為替の問題では対応策がはっきりしていて、日本は一貫して為替相場は政策の目標にはしていないと言い続けるしかない。先の選挙後には縛りを失った一部の政治家が具体的な為替水準にまで言及する向きもあったが、目下の政策上の要諦は経済成長をいかに高めるか以外になく、為替はその結果に過ぎな・・・