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社会・文化

「復興」を歪める巨大高速道路計画

いまでは地元も望んでいない

2013年2月号

 いまだ記憶に生々しい東日本大震災から早くも丸二年の節目が近づく中、岩手や宮城といった三陸沿岸の被災地では、遅々として進まぬ復興事業への不満が絶えない。全国各地で「防災」「減災」を謳い文句に、不要不急の事業に巨額の予算が横流しされている実態が明るみに出ているが、そうした「復興事業」の欺瞞は、当の被災地でさえ堂々とまかり通っている。  一月十一日、自民党内に設置された「東日本大震災復興加速化本部」の本部長を務める大島理森・前副総裁が被災地の岩手県大槌町や釜石市などを訪問し、地元市町村長らから多くの陳情を受けて回り、「補正予算に早速反映させる」と意気込んだ。その大島氏の地元、青森県八戸市を終点とする、ある「大型公共事業」がいま、復興事業の“目玉”に浮上している。

「悪乗り業者」が事業を「選り好み」

「三陸沿岸道路」―八戸市と仙台市を結ぶこの高速道路は、「三陸縦貫自動車道」(仙台市~宮古市)、「三陸北縦貫道路」(宮古市~久慈市)、「八戸・久慈自動車道」(久慈市~八戸市)から成る全長三百六十キロの巨大路線だ。震災発生までは「人口密度が非常に低い地域・・・