雪は天からの「贈り物」
「たまの東京」は騒ぎ過ぎ
2013年2月号
一月中旬、首都圏は十センチ前後の積雪で大混乱となった。鉄道や首都高速、航空機が止まり、スリップによる交通事故は関東全域で七百五十件、けがをした人は五百人とも千人とも言われる。
雪害に見舞われるたび、「雪に弱い」「もっと備えを」と言われる。しかし、今回の東京都心の積雪八センチは、七年ぶりという。数年から十年に一度の雪降りに、どれほどのコストをかけて備えればいいのか。
雪が降っても日常生活が全く乱れないことがベストなのだろうか。ここは考えどころだ。そう言っているうちに、雪が消えるのと一緒に、苦労した記憶も薄れる。「災害は忘れたころに」の繰り返しのようにも見える。
ちょっと考えると、新潟や秋田、札幌などは一メートル近い雪が積もりながら、一定の市民生活が保たれている。雪国で苦労している人間からすると、首都圏の混乱は不思議ですらある。
雪に対する備えは大変な費用がかかる。春になれば消えてしまう雪に対し、都市自治体は毎年、数十億から数百億円を投じる。深夜、北国の幹線道路や住宅街で、巨大なロータリー除雪車がうなりを上げ、十トンダンプが何十台も列をなして、雪捨て場に向・・・