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経済

「瀕死」のシャープに群がる蠅

水面下で熾烈な争奪戦が展開

2013年2月号

「今のシャープを考えるうえで重要なのは、もはやどうすれば再建できるかではない。どこがシャープに触手を伸ばしているかだ」  こう語るのは、シャープの事情に詳しいある証券アナリスト。利に聡い証券筋は、すでにシャープの「経営破綻」は織り込み済みであり、同社の各事業をどの企業が取得するかという動向が、他社の投資判断に対する「材料」として使われ始めているという。  実際にシャープを取り巻く状況には何ら改善の兆しが見えない。同社が九月に期限を迎える二千億円もの転換社債(CB)の償還が依然困難であることから、電機業界では「七月危機説」が絶えない。「延命」に不可欠な主要二行からの追加融資の条件となる「下期の黒字確保」にしても、二〇一二年十~十二月期は白物家電などの好調で黒字を確保したと胸を張るが、現下の一三年一~三月期はアップル向け中小型液晶パネルの生産調整などが大きく響き、下期赤字転落の危機が再燃している。  そんな一月半ば、シャープが中国レノボと南京工場売却・テレビ事業の合弁で交渉中との観測報道が駆け巡った。出資交渉が難航する台湾の鴻海精密工業に代わる「ホワイトナイト」の登場かと先走・・・