三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

ANA「慢心経営」の反映「787」

「夢の翼」が一転「お荷物」に

2013年2月号

 最新鋭中型旅客機ボーイング787が「夢の翼」から一転、経営の「お荷物」になり果てた事態に、全日本空輸(ANA)は頭を抱えている。  あるANAのパイロットが語る。 「787はコンピューターによる操縦支援システムによって安心して運航できるうえ、従来機では八千フィート(約二千四百メートル)だった与圧客室高度も六千フィートとより平地に近い感覚で、加湿もされるなど客室も快適で、客室乗務員(CA)にも評判が良かった。まさに夢の翼だった……」 「だった」と、つい「過去形」になってしまうのは、一月十六日の緊急着陸事故のせいであるのは言うまでもない。

「まるでボーイングの実験台」

 午前八時十一分、山口宇部空港から離陸し羽田をめざしたANAのボーイング787は、上昇中にバッテリーの不具合を計器が察知し、操縦室内で異臭もしたため、目的地を高松空港に変更。八時四十七分、緊急着陸。乗員八人と乗客百二十九人は、非常脱出装置で機内から地上に降りた。着陸後確認すると、メーン・バッテリーの内部が黒く焼損していたのは、報道のとおりだ。 「何でも電気で動かす・・・